ビジネスモデル特許について
ビジネスモデル特許・ビジネスモデル特許出願
ビジネスモデル特許・ビジネス方法特許というものをよく聞きますが、法律上、そのようなカテゴリはありません。
俗称・通称として、ビジネスのしくみを含む発明の特許がそう呼ばれています。
特許庁での審査では
日本特許庁の審査では、ビジネスモデルの特許出願は、ソフトウェアの特許出願として取り扱われます。
このため、特許出願する発明は、サーバ/クライアントなどの「装置」のハードウェア資源を有意に利用していなければなりません。
このような理由から、純粋なビジネスモデルそれ自体の特許をとることはほぼ無理であり、コンピュータシステム、通信システムなどとして特許出願することになります。
ブームのあと
2000年頃のブーム時の特許出願が審査されていますが、その頃の平均特許率(審査請求数と特許数の割合)は10%前後です(2003,2004年)。
通常の特許出願の平均特許率が40~60%であることを考えると、かなり低い数値です。
また、特許されたビジネスモデル発明の請求項は、かなり狭い権利範囲となっているものが多いです。
ビジネスモデルに関する特許出願の注意点
ビジネスモデルに関する特許出願の場合、ネットワークシステムの発明ととらえるか、コンピュータ単体の発明ととらえるかによって、特許が取れた場合の特許の権利範囲が異なります。どのようにそのビジネスモデルをとらえるかによっても特許のなりやすさが変わります。
特許取得の上でポイントとなるのは、そのビジネスモデルにおいて、必要不可欠でかつ技術的に新規なポイントをできるだけ特許出願に盛り込めるかです。
例えば、あるサービスXのEC(電子商取引)について特許出願しようと思った場合、そのサービスXについての現実のビジネス及び特許出願が存在しないとしても、別のサービスYについて似たような技術(データ通信、データ処理等)を使用したECが存在するときには、サービスXのECというだけでは、特許化は難しいです。
そこで、サービスXを提供する際に特有なデータ構造・データ処理等を含めて特許出願をします。また、そのサービスXを提供する際に特殊なハードウェアを使用する場合には、そのハードウェアを含めて特許出願をします。つまり、サービスの違いではなく、技術的な事項で差別化を図ります。
このように細かいデータ処理やハードウェアまで記載するため、きちんと特許出願する場合には、ビジネスモデルの特許出願は、他の特許出願に比べ明細書の枚数が多くなり、費用もかかる傾向にあります。