ソフトウェア特許について
ソフトウェア特許
一般に、ソフトウェア特許、ビジネスモデル特許と呼ばれているものは、俗称であって、法律上は他の特許と特に区別されていません。
これらの共通点は、コンピュータ+プログラムが発明で使用されていることです。
ソフトウェア発明の種類
ソフトウェア発明(プログラム発明)の実施形態は、主に、以下の3つに分けられます。
(a) PC+ソフトウェア製品・・・パッケージソフトなど
(b) 組込製品(エンベデッド製品)・・・携帯電話機など
(c) サーバ・クライアントシステムの全体又は一部・・・LAN, ASP, データセンタなど
特許出願時の注意点
ソフトウェア発明(プログラム発明)の場合、他の発明の場合に比較して、さらに以下の点に注意します。
「自然法則」の利用を書面内で明示する。
特許率が他分野より統計上低いことを踏まえ、詳細な技術事項も漏れなく書面に記載する。
具体的には、特許請求の範囲、明細書及び図面を作成するとき、以下のことに気を付けます。
1.ソフトウェア製品の場合には、コンピュータのハードウェア資源(メモリ等)の使用を十分に明記する。
2.請求項として、プログラムによる個々の装置の機能、及びプログラムの請求項を作成する。
3.装置やシステムに使用される要素技術を明確かつ正確に把握し、その要素技術と発明とが矛盾しないように実施例、その変形例を記載する。必要に応じて仕様書やRFCなどで内容を確認。
4.データ構造、制御フロー、データフローについて詳細を記載する。ソフトウェア発明の場合、発明の説明が構造の説明というより機能・作用の説明となるため、抽象的にならないように「どのような」データが「どのように」処理されるかを具体的に書く。
ソフトウェア発明の関連規定:特許法
特許法第2条第3項に、「プログラム等」の発明は、物の発明であると明記されています。
「プログラム等」は、特許法第2条第4項で以下のように定義されています。
特許法第2条第4項:「この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。」
つまり、プログラム発明は、物の発明として特許を受けることができます。
ソフトウェア発明の関連規定:審査基準
「特定技術分野の審査の運用指針」の「第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明」にソフトウェア関連発明についての記述があります。
ソフトウェア関連発明は、(a)プログラム、(b)ソフトウェアにより実現される装置(物)、(c)ソフトウェアにより実現される方法として特許を受けることができます。
「発明」として特許を受ける対象となりうるのは、以下の要件が原則必要です。
課題を解決するための「解決手段」が以下のいずれかであること。
ハードウエア資源に対する制御又は制御に伴う処理
対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理
ハードウエア資源を用いて処理すること
「解決手段」が、数学的解法、自然法則自体、自然現象、自然法則若しくは自然現象の数学的表現などである場合、又は、その手段が人文科学のみに関するものである場合は、特許の対象外になります。
「解決手段」が、単に「コンピュータを用いて処理すること」のみである場合や「媒体にプログラム又はデータを記録すること」のみである場合は、特許の対象外になります。