国際特許出願(PCT)の基本情報
国際特許出願(PCT出願)とは
国際特許出願(PCT出願)は、特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)にしたがって行う出願です。国際特許出願は特許(と実用新案)に関するもののみであり、意匠や商標はありません。PCTには約200ヶ国が加盟しています。
加盟国(例えば日本)の特許庁に国際特許出願をすると、加盟国すべてに特許出願したのと同一の「効果」が得られます。日本の特許庁に対して国際特許出願する場合には、日本語の書類でOKです(英語でも可)。
「効果」と書いたのは、国際特許出願をしただけでは、希望する国で特許をとることはできないからです。特許をとりたい国の特許庁に対しては、「国内移行」という手続をします。「国内移行」をしなかった国では、一定期間後に出願を自動的に取り下げたものとみなされます。
日本で日本語の国際特許出願をして米国で特許をとりたい場合、米国特許商標庁へ「国内移行」の手続をします。その際に、国際特許出願の英語翻訳文を提出します。また、日本で特許をとりたい場合にも日本の特許庁に対して「国内移行」の手続が必要です。
・・・例えば、中国、米国、韓国などに製品を輸出予定だが、実際の輸出国は現時点では確定していないといった場合、とりあえず日本語で国際特許出願をしておきます。そして、後日(一定期間内に)、特許が必要な国が決定したときに、それらの国についてのみ「国内移行」の手続をします。その際、例えば韓国での特許が不要になっていれば、韓国語翻訳をせずに済み、費用を軽減できます。
「国内移行」は、通常、国際特許出願の日(または優先権のある場合はベースとなる出願の日)から30ヶ月の間のみ可能です。
国際特許出願をすると、自動的に「国際調査報告書」と「見解書」が送られてきますので、国内移行前に特許の可能性をある程度知ることができます。